どのような栄養要求性細胞でも増殖させる事のできる組成をもつ合成培地。培地の組成は、組織培養を成功させる上で最も重要な要素で、古くから検討、改良が行われている。植物細胞は、分化状態、培養条件、特に緑化細胞では光照射条件などにより著しく栄養要求性に違いが見られるため、完全培地の組成を決定するのは困難である。

　これに対し、培養細胞の栄養増殖に必要な成分を最小限に含む培地を基本培地または最小培地という。

　この用語解説においては「どのような栄養要求性細胞でも・・・」と記述したが、私自身は、増殖させようとする細胞の示す要求性は「栄養要求性」だけでなく「情報要求性」もあり、むしろこちらの方が重要だと考えている。
　従って、私自身の定義による完全合成培地とは「どのような栄養要求性細胞、情報要求性細胞でも増殖させる事のできる組成と情報要素をもつ合成培地」である。